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論理的思考(ロジカルシンキング)とは何か?実は国によって異なります

2022年5月31日

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こんにちは。
ビジネスパーソンに必須のスキルは?と聞かれたらほとんどの人が論理的思考(ロジカルシンキング)と答えるでしょう。
それくらい、論理的思考力は現代で強力なツールとされており、社会に出て活躍する人はいち早く身につける必要があると言われています。

実際、僕も社会に出るにあたって、論理的思考力を鍛える本を読んでいました。なかなか身につけるのは大変ですね(笑)。
しかし、皆さんご存知でしょうか?実は、アメリカとヨーロッパ、特にフランスとでは論理的思考の考え方、論じ方が全く異なるのです。

今日は、アメリカとフランスの論理的思考の違いを解説します。
これを読むと、論理的思考力の意味がより深くわかり、場面によっていろんな種類の論理的思考力を使いこなせるようになりますよ!

ぜひ読んでいってくださいね。

アメリカのロジカルシンキング(エッセイ)

まず初めにアメリカのロジカルシンキングであるエッセイを紹介します。
これは、日本人の皆さんお馴染みの論理的思考になります。
エッセイの論の運び方は以下の流れになります。

  • 導入:主張
  • 本論:主張を支持する事実(通常3つ)
  • 結論:主張を繰り返す

ロジカルシンキングを学んだことがある人はこの論じ方で学んだと思います。
僕たちがビジネススクールで学んでいる論理的思考は、実はアメリカのものなんですね。

基本的に、エッセイと呼ばれるこのロジカルシンキングは、明快な論じ方で多くの人から好まれます。
主張とそれを支える根拠や事実が後からくるのでとても頭に入りやすい論じ方です。
限られた時間で相手に自分の意見を伝えたり、プレゼンをするときに非常に重宝する論じ方になります。

フランスのロジカルシンキング(ディセルタシオン)

続いて、フランスのロジカルシンキングであるディセルタシオンを紹介します。
こちらは皆さん馴染みが薄いと思うので詳しく解説します。
まず、ディセルタシオンでの論じ方は以下になります。

  • 導入:中心となるテーマの提示と全体構成の説明
  • 展開:弁証法(正-反-合)
  • 結論:全体のまとめと結論、次の課題の提示

導入部分では、今回取り上げるテーマについて概要を説明すると同時に、結論までの構成を説明して次の「展開」に入ります。
「展開」では、自分の考えを述べて(正)、その後に自分の考えと反対の意見を反論として持ってきます(反)。
そして、反対意見の加味して両方の主張を統合したより高次元の解答に持っていきます(合)。
最後に結論部分で、導入から展開部分までのまとめを行い、新たに浮かんだ課題があればそれを明示して締めくくる流れです。

両者の違いと使い分け

違い①:反対意見があるかないか

いかがでしょうか?
ロジカルシンキングと言っても、アメリカとフランスで論じ方にかなり違いがありますよね。

特に大きな違いは、エッセイでは、反対意見が登場しないのに対し、ディセルタシオンでは、反対意見を登場させるどころかそれを自分の意見に盛り込んで両者を統合するさらに高次元の解答に持っていくことです。

違い②:結論が最初にあるかどうか

エッセイでは、結論ファーストの論理構成になっているので、主張がわかりやすく明快です。
一方、ディセルタシオンは、自分の意見と反対意見を戦わせてより高次元の「合」の解答を用意するので、必然的に結論は最後になります。
結論が最後に出てくるのでまどろっこしい点もありますが、筆者の考えがダイナミックに変化していく楽しさがあります。

なぜアメリカとフランスでは論じ方が違うのか?

アメリカとフランス、それぞれの論理的思考の特徴を見てきたが、そもそもなぜこれほどの違いがるのでしょうか?
その答えは、民主主義の考え方の違いにあります。
少し長いですが、引用します。

フランスもアメリカも民主主義を掲げる国と一括りに見られる傾向がある。しかし、政治学において、市民性は大きく共和主義型と民主主義型の二つに類型化して考えられ、そこで点kないされる教育の形も大きく異なることが指摘されている。

〜中略〜

共和主義型は、個人の利益よりも公正で平等な社会の実現を目指す「共通善の追求」を重視し、「公共の利益」を政治的な価値判断の基準とするのに対して、民主主義型は「個人の権利と自由」を重視して、その権利の侵害からいかに個人を守るかを判断の基準とする。

〜中略〜

前者はフランスをはじめとするヨーロッパ型と呼ばれ、後者はアメリカ型と呼ばれることも多い。

引用元:渡邉雅子著『「論理的思考」の社会的構築』(岩波書店)P.221

このように、同じ自由をうたうアメリカとフランスでも考え方が異なるのです。
フランスでは、全員が自由で平等な社会を目指すために、公共の利益を追求することが求められるので、さまざまな価値観や考え方を受け入れながら相手と議論をする必要があります。

一方、アメリカでは「個人の権利と自由」を守ることが最重要であるため、むしろ個人を抑圧するような仕組みや制度をいかになくすかという視点があります。

どう使い分けるか?

アメリカのエッセイも、フランスのディセルタシオンも、優れた論理的思考です。

私個人としては、エッセイはやはりプレゼンや発表など、限られた時間で相手に自分の意見を伝える場面で重宝すると思います。
ビジネスパーソンは文字通り忙しいので、要点を簡潔に述べて意思決定を素早く行う必要があるのでエッセイの論理的思考はこれからも重要となるでしょう。

一方、ディセルタシオンは、経営者が行うような重要な意思決定や他人との議論の中で重宝する論理的思考だと思います。
論じ方として、反対意見を必ず盛り込んで更なる高次元の解答を用意する必要があるので、特にグローバル社会と言われる現代で、世界を股にかけて活躍するビジネスパーソンや従業員を抱える経営者の方が身につけると非常に強力な武器になると思います。

さまざまな他者の価値観をふんだんに盛り込んで編み出した「合」の解答は抽象度が高く、普遍的で誰もが納得する結論を導き出せるでしょう。
世界から学び、人生をより豊かにしていきましょう。

コミュトレ

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takaya

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